俺様の靴と虾鬼のシャツ

散歩を続け、ホテルの前までぐるっと一周してきた格好となったが、俺様はこの日もサンダルだったため、雨上がりの街を歩くと足が極端に汚れる。このようなハンディを背負った状態ではトイレと格闘するのも難儀するため、靴を買おうと思い立った。虾鬼はシャツがほしいという。
こちらには買い物の交渉能力が鬼以上のパンダさんがいる。彼女に任せておけば、値札を見て価格に納得してから、その半額近くで手に入れることができる。

大通りに面した比較的綺麗な靴屋に入る。
価格帯も「いい値段」だ。店の前を見ると「全品 50% OFF」のようなのぼりがある。これは期待できそうだ。
余談だが、俺様は足のサイズがでかいので、靴を買うのに苦労をする。価格やデザイン面はハナから捨てて掛かっているのだ。靴を選ぶ前にまず「このサイズの靴は扱っているか」と聞き、その時点で店を後にしなくてはならないケースが過半数だ。仮に扱っていたとしても女物のパンプスだったり*1、子供向けだったり、わらじだったりとろくな目に遭わない。
しかしなんと、この店には俺様のサイズがあると言う。しかも作りがしっかりしたスニーカーだった。
値段を見ると 470 元とある。約 7000 円。まぁ仕方ないと金を出そうとしたら、パンダさんが俺と店員の間に入ってきた。

店主曰く「この靴は中国のバスケの選手が履く靴を作っているメーカのもので、しかもこのサイズを他店から取り寄せたから安くできない」。
パンダさんは「50% OFF って書いてんだから負けなさいよ」と応戦しているようだ。

しばらくやり取りをした後、パンダさんは、自分が目をつけた靴と一緒に購入するということで話をまとめた模様。
「450 元になった」というので支払うと、店主の機嫌が明らかに悪い。店を出た後塩でもまかれそうな勢いだ。
そんな店主に、せめてもの慰めとして「コトバを知らなく空気も読めない阿呆外国人」として振舞うべく、俺様はにこやかに笑いかけ「謝々」と言って店を出た。
20 元ぽっち負けただけでえらく怒ってやがったなぁとパンダさんに話を振ると、「あたしが買った 250 元って値札がついた靴とセットで 450 に負けさせた」と事もなげに言い放つ。おい!!!!

これを見ていた虾鬼は「俺も T シャツに 10 元以上払う気がなくなった」と地球での学習能力の高さを示してくれた。
T シャツの価格帯はおおむね 20 〜 50 元。仮に 50 元だとしても約 750 円。確かに 10 元の 5 倍だが、その差は 600 円に過ぎない。モノがよければ 50 元くらい払っても良くないか? と思いながらも面白いので 10 元のシャツを探して街を歩き回ることになった。

商店街はどこも活気がいい。見たこともないフルーツや食料品が平積みにされ、平日のそれもまだ午前中だというのに多くの人が出歩いている。何軒も店を回るが、なかなか 10 元のシャツは見つからない。30 〜 40 分歩き回り、ようやく 20 元弱のシャツを見つけ、パンダさんが交渉して 10 元に負けさせようとしたが、店主が奥へから仕入れ伝票を持ち出し「ほらここを見ろ! 17 元で仕入れたものをどうやって 10 元で売れって言うんだ!!」と切れられ退散。10 元にできねぇのは当たり前だ!
結局、17 元でシャツを購入した虾鬼だったが、ホテルへ戻る途中に更に安そうな店を発見し、見ぬふりを貫くこととなった。

ホテルへ戻ってチェックアウトをして、いよいよ大理ともお別れ。昆明へと向かうこととなった。

*1:31cm のとか。どこの星だ、そりゃ