宿探しを兼ねて街を回る

ホテルの窓から街を見下ろすと、半旗が上がっているのが見える。

今日から3日間、中国は、汶川で起きた大地震のため、喪に服するそうだ。


飛び込みで入ったホテルの料金が高く*1、連泊はキツい。
フロントに荷物を預け、観光がてら、本日の宿を探すことにした。


まずは腹ごしらえ。
この辺りでは、西湖で獲れた魚料理や薬膳料理が名物だそう。


虾鬼は、もう辛いものはこりごりだと言う。
俺はそうではないが、そう言いたくなる気持ちはよく分かる。


虾鬼は、脂っこいものもこりごりだと言う。
... それは無理な要求だろう。


まぁ、薬膳料理で我慢してもらおう。


タクシーで地元料理店が並ぶ地域へ乗り付ける。
街路樹越しの日差しが柔らかい。街に吹く風もどことなくさわやかだ。中国へ来て、初めて「自然が美しい街」に来た気がする。今まで上海、成都、桂林、九寨溝(松藩)、昆明、大理と回り、九寨溝のように自然環境が豊かな土地もあるにはあったが、日本人的な感覚からすると瑞々しさにかけたり、やたらと埃っぽかったりと、言ってみればバランスが悪く感じていた。
杭州は、紛れもなく、美しい街だ。

料理店街の裏手はちょっとした観光地になっていて、数々の土産物屋が軒を連ねる。
何でも、古い街並みを保存することになっており、いろいろな規制があるんだそう。
そのお陰で、古風な街並みがそのまま残っていてくれるのは嬉しい。


ここの土産物屋は充実しており、手ごろな武器を売る店もあった。かなり後ろ髪を引かれたが、ここはぐっとこらえて買わずに帰る。空港で止められるのはまっぴらだからだ。


散歩の後、薬膳料理屋を探したが、いまどき薬膳だけではやっていけないんだそうで、ガイドブックに載っていた店は既になくなっていた。


なお、この店の場所を十字路に立っていた初老の公安に聞いたら、われわれの進行方向を指差した。
「ふーん、そうなんだ」と思い進もうとしたら、脇を通った通行人が何かをがなりたてた。
パンダさん曰く「『何いい加減なこと言ってんだよ、左だよ、左。ったく、旅行者が知らないと思って嘘教えんなよっ!!』だってさ」。
平然と違ったことを教える公安より、公安相手にそんな言い方をする通行人に驚いたが、別に捕まったりはしないんだそう。
なんというか、この国の日常を垣間見た気がした。


結局、何の変哲も無い料理屋に入り、あまり辛くない料理を食べたが、虾鬼の元気がない。
火星を離れて時間が経ちすぎたことが原因かもしれない。


パンダさんがよさ気な今日の宿を見つけてきてくれ、虾鬼は宿に残して前日のホテルへ荷物を取りに行くことにした。

*1:一泊一部屋 500 元弱。これを高いと思うかどうかで中国旅行のスキルが計れる