モルト、グラッパ、そして悪くないフィナーレ

ようやくバルベラを覚えた。
バルベラは、何度工藤さんに聞いても、行くたんびに山ちゃんに「俺がいる間に5回以上その酒の名前を口にしてくれ」と頼んでも、店を出ると忘れ、また店に行く直前になって思い出そうとしても絶対に思い出せなかったグラッパの名前だ。
肝心の味のほうはやや華やかで、癖の強いグラッパが好きな俺にとっては*1サシカイヤよりは少々楽しめる程度で、もしもえげつないマールがあればそちらを選ぶだろう、という程度。
ただモルトを続けた後だったりコニャックという気分にならないときには重宝する。サシカイヤは悪くはないが、俺の感覚では平たくて薄いのだ。
一杯目か、「草」を飲んだ後に正気に戻すのにちょうどいいと感じている。


木曜日は同業の先輩と飲んだ。数年ぶりに行った HAZELBURN はシガーも揃っていていい感じ。
店主の小山君は感じがよく、こちらの、感覚主体で酒を選んでもらうような無理目なオーダも快く聞いてくれた。
塩辛く、磯臭いモルトが欲しくなり、しばらく飲んでなかったブナハーブンをチョイス。最後の一杯分残った 40 年モノに出会うことができた。香りを嗅ぐと、荒々しさが息を潜めた感じが期待を誘う。迷わず頼み、珍しくゆっくりと味わった。
ビンゴ!
口に含み飲み下した瞬間は塩辛く、やや平たい感じがしたが、フィニッシュが長い。
しかもカスクにありがちな胃と喉を反芻するような、喉を洗いたくなる強烈さではなく、磯の香りとかすかな甘みがゆりかごを揺らすがごとく、ゆらゆらと喉の奥を行き来するのだ。
これは美味いね。うかつにも瓶を撮るのを忘れてしまい、次、いつどこで飲めるか分からない。
Reyes, Shorts と灰にしたが、Lusitanias と合わせたら最高だった。


そして極めつけは昨日。
思わぬプレゼントがあった。
山崎蒸留所 1997 シェリーバット CASK 63度。
Bottled in 2009 なので、12年モノ。
色の深みがハンパない。あける前から香りの想像は付いたが、いざキャップを外すとそれ以上に甘みが深くて驚かされた。まだ飲んではいないが、予想としては、6、7 年前によく飲んだディメララとかのモルト樽バージョンのような味になってるんじゃないか。正直、好みの味とは思いがたいが、いずれ家飲みするときの楽しみとしておきたい。

*1:貴腐のグラッパを除く。あれはすさまじく美味かった